【息子さんに「建築学科に行きたい」と言われたお母さんへ②】
前回の質問
「建築学科って何するところなんですか?」
「建築学科を卒業すると一級建築士になれるんですか?」
「建築学科を卒業するとどういうところに就職できるんですか?」
「建築学科を卒業すると建築家になるんですか?」
それでは、下の2つの質問に答えていきます。
「建築学科を卒業するとどういうところに就職できるんですか?」
建築業界と言うのは、日本国内で「最も携わっている人が多い」と言われている業界です。
実際に設計を行う設計者や工事を行う施工者だけでなく、住宅の設備(キッチンやお風呂)であったり、外装材に使うタイルであったり、いわゆるメーカーと呼ばれている職種など、建築に関連する業種は幅広く存在しています。
建築学科の就職先(デザイン系)
まず意匠(デザイン)系の研究室の方は、大きく分けて、下記に就職します。
1.ゼネコン設計部
2.組織設計事務所の設計部
3.個人事務所(アトリエ)
4.ハウスメーカー
もちろん上記以外にも、
5.役所の建築審査課
6.確認審査期間(計画建物が法律に準拠しているか確認する)
意匠系の研究室を卒業しても、設計職ではない、ゼネコンの施工部に就職する方もいます。
上記に書いた4つの業種の違いを簡単に述べると、
ゼネコンと言うのは、工事をする施工部隊を会社内に持っているが、組織設計事務所は施工部がないので、設計しかしないと言う違いがあります。
ゼネコンは会社規模が大きく、大手ともなると何十億、何百億の工事費から利益を作るため、社員の給料もとても高いです。
それに比べて、組織設計事務所は設計しかしないため、利益は設計料のみとなります。大手の組織設計事務所では、大規模な物件も多く、それなりに給料は高いですが、ゼネコンには及ばないと考えて下さい。
個人事務所(アトリエ)は、建築家にデザインを教わると言う感覚で就職する人が多く、給料は驚くほど少ないです。その殆どの人が、将来は自分で独立して事務所を構えることを目的としているので、修行期間とも言われています。
以上が建築意匠と呼ばれている分野になります。
4つ目に書いたハウスメーカーは、よく聞く「〇〇ハウス」と呼ばれているところで、住宅設計ですが名前の通り「メーカー」です。
既に企画設計としてある「住宅のプラン」をお客さんの希望に合わせて、できる範囲で設計(カスタマイズ)するという会社です。ハウスメーカーは、昨今の流れを見ると、設計担当者は月に数十件も設計しており、とても忙しそうですが、給料は結構高いです。
施工系
ゼネコンの施工部に行く方が殆どですが、中には、工務店であったり、ハウスメーカーの工事担当になる方もいます。
構造系
ゼネコンや組織設計事務所の構造部に就職する方が多いですが、個人でやっている構造事務所に就職する人もいます。
設備系
構造系と同じく、ゼネコンや組織設計事務所の設備部(技術部)に就職する方がいます。他には、電気のサブコンや機械設備(空調や給排水)のサブコンさん、またはメーカーに勤める方も少なくありません。
その他
それ以外では、役所の建築審査課として公務員になる方もいれば、確認審査機関と呼ばれている建築を審査する会社に勤める方、デベロッパーとして建築を依頼する立場(言い方が難しい)や、はたまたメーカー(キッチン、お風呂、トイレ、壁紙、タイル、フローリング、手摺、ガラスなどなど)があります。
「建築学科を卒業すると建築家になるんですか?」
もちろん、中には独立して自分の事務所を構えて、名実ともに「建築家」として名乗る人もいます。
ですが、上にも書いたように、建築業界には数多くの業種があり、殆どがサラリーマンとして建築に携わることになります。
ですから、仮に息子さんに「建築学科に進みたい」と言われても、心配せずに応援してあげて下さい。