【設計スキルの違い】

最近、某大手ゼネコンの設計部に努める友人に聞いた話がある。

「最近の学生の設計力が落ちている気がする」と言う内容だ。

どうやらそいつは、設計部の上司とある大学に会社説明に行ったとき、その上司からそう言う相談を持ちかけられたらしい。その友人もそう感じていたらしく、居酒屋で私まで話が回ってきたのだった。

否定はしなかった。

ただ、それがどういう設計力のことを指しているのか定かではないが、私は一概に【設計力】が落ちているとは思っていない。

私自身が感じていたのは「意匠系に進んだ学生の中で設計が出来る人と出来ない人の差が激しい」ということだ。

私自身も最近良くOB訪問を受ける機会が増えたわけだが、そう感じることも毎年のように多くなった。設計力が高い学生は昔と同等、いや昔よりも能力は高いのだが、設計力低い学生は意匠系に進んで大丈夫?と思う程のポートフォリオの完成度である場合も少なくない。

その理由がなんなのか私には見当もつかないが、正直私自身も同じような感想を持っていたので、instagramを始めこのnote でも建築学生に向けた情報提供を始めたのも事実だ。

だからこそ今回は【スキルの違い】をテーマにして書いてみようと思う。

今の話とは関係ないのだが、【差が激しい】と話すと、すぐゆとり世代のせいにしがる上司が多い。私自身もゆとり世代ど真ん中のため、その考えには否定的だから、まずはゆとり世代の能力について肯定してみよう。

ゆとり世代の特徴をあえて述べるのであれば、皆さんはどう答えるだろうか。

私は、「自由時間を多く与えられた世代」と答えたい。それは勉強面においてはマイナスな面はあるが、その他の分野においてはプラスの面も多いと思っている。

例えば、大谷翔平選手なんていうのは典型的な例なのかもしれない。

もともと途轍もない才能と類い稀ない努力があるのは事実だが、こうは考えられないだろうか。

ゆとり世代によって、その前の世代よりも【自分の為に使える時間が増えた】と。だから、好きなこと、例に沿うなら野球に打ち込める時間が増えたということだ。それであれば、最近のスポーツ選手が打出す世界的な功績にも納得がいく。

自分のために時間を多く使えたゆとり世代は、最先端な施設や技術と元々の能力、更に多くの時間で培ってきた努力量と相まった結果、今のスポーツ業界を支えているのではないだろうか。そう考えれば、必ずしもゆとり世代が悪いという話にはならない。

それに勉強やスポーツだけに限った話ではない。例えば、その自由時間をゲームに使ったとしよう。今の世の中様々な稼ぐ方法があるから、YouTubeのゲーム実況者として稼げているのであれば、それはゆとり世代の中でうまく適合できた例でもある。

話が飛躍したが、自由時間を何にも利用できなかったものは少ないのではないだろうか。勉強やスポーツに使った者もいれば、趣味や習い事に使った者もいる。ゆとり世代はきっと何か個人個人で周りとは違った力を身につけていると信じたい。

だから「1つの事柄」で比較した時、個人間の差を余計に感じてしまうのかもしれない。

また、海外を拠点に置くアトリエに勤めている友人にこういう話も聞いた。

なぜ、日本で働く建築業界の海外労働者のスキルが以上に高いのかということである。

何年か前、当時大阪府庁であった橋本氏も言っていたような気もするが、日本に当たり前にある「新卒採用」という概念は、一部の海外ではあまり見受けられないらしい。もちろんそれは1つの例ではある。

日本では大学を出て企業に就職する場合、入社試験(面接等)によって、自分をアピールすることで、面接官が当社に優秀かつ適合するかを判断する。しかし、一部の海外では大学を出てすぐに就職することは少ないという。大学を卒業してからはまず、自分が社会に出て役にたつと思うスキルを自分自身で身につけるそうだ。それは建築業界で言えば、3Dやスケッチの【スキル】、またはコンペ等に受賞するなどの功績を作ることであったりする。

そしていざ就職する場合には、「入社試験」ではなく「交渉」するのだそうだ。

「自分にはこういう【スキル】があるから、あなたたちの役に立てる」であったり、「だから給料はこのくらい欲しい」であったり、自分で交渉して、企業を決めるそうだ。

アベノミクスが本当に凄かったのは、株価の上昇や倒産率の減少ではなく、新卒採用者の雇用率を上昇させたことだ。就職氷河期に比べたら、ありえないくらいの数値だ。それを好景気かというかは別だが。

日本には「新卒採用」というシステムが当たり前のように成り立っている。それは良いことなのだが、「入社試験」と「交渉」とで入社した人材のスキルの差は埋められないのかもしれない。

ゆとり世代だからこそ、もっと自由に考えていくことが求められている。

海外の例を参考にするのであれば、その自由時間こそ【スキル】アップに利用するべきだ。

差が激しくなることが顕著に現れる今の世代だからこそ、他人はやっていない【努力】を怠ってはならないのだ。

しっかりと考えて、自慢できる【スキル】を何か身につけて欲しい。

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私自身がやった努力【毎日1建築】