卒業旅行記_05【バルセロナ-ジョーカーは誰?】

カンプ・ノウリオネル・メッシのユニフォームを購入し、写真を撮った後ガウディ建築の3つ目であるカサ・ミラを見学した。

ただ、それまでの見学に時間を掛けすぎてしまっていたので、1時間弱ぐらいの間に急いで見学する羽目になった。

これほどまでに異質で象徴的な集合住宅は世界中探してもないだろう。皆さんはもう少し時間に余裕を持って行くことをお勧めする。

バルセロナ1日目の夜は、ホテルに備え付けのキッチンで自炊することにした。15日間の旅だったから、無駄に出費することは避けたい。

近所のスーパーで買い物を済ませ、ホテルに戻ると、俺らは再び「ババ抜き」をした。晩御飯の担当を決めるためだ。1回勝負とし、下位2名が全員分の夕食を作る。

負けたのは、友弘と辻谷だ。どうやら辻谷は「ババ抜き」が弱いらしい。

バルセロナの2日目の午前中には、昨日行けなかったグエル邸の見学をした。カサ・ミラ同様に日本語の音声付きの案内が可能なのでとても助かった。

グエル邸の見学には、予想外に時間がかかり、あわよくばピカソ美術館もと考えていたが、難しかった。入場するのに1時間を要する美術館の見学を諦め、事前に見学の予約をしていたカタルーニャ音楽堂へ向かう。

午後は、カタルーニャ音楽堂カタルーニャ広場、そして最後にバルセロナパビリオンに行く予定だ。

カタルーニャ音楽堂では、見学の後、音楽隊のリハーサルに遭遇した。音楽に疎い俺らは、少しの感動を持って、カタルーニャ音楽堂を後にした。

ガウディ建築のカサ・バトリョを尻目にカタルーニャ広場でしばしの休憩をする。鳩がすごい。

スペインの著名な構造家出あるサンティアゴ・カラトラバのモンジュイックタワーを見た後、その日の15時前には、建築家ミース・ファンデルローエ設計のバルセロナ・パビリオンに向かった。

建物のプロポーションからタイルの目地まで、全てが整えられていて美しい。

バルセロナ・パビリオンを1時間掛けてゆっくり見学した後、エントラス前の池の脇にあるお土産を買うことにした。

各々お土産を選ぶ。ここに来た建築学生の誰もが買うであろうポストカードも手に入れた。

更に物色していると俺はある気になるものを見つけた。トランプだ。

ガラスケースに一部広げられて売られているトランプの絵柄は、スペードのキングがル・コルビジェ。クローバーのクイーンがザハ・ハディド。ダイヤのジャックがエーロ・サーリネンまでは見える。

J・G・Kの絵柄は全て建築家であり、数字のトランプは様々な建築が描かれていた。

「買おう」俺はそう思った。

そしてこの旅のトランプ(ババ抜き)は今後このトランプを使うのだ。

ただ、ババ抜きのするには気になることが1つある。

「ジョーカーって誰だと思う?」みんなに聞いてみた。

「さすがにミースなんじゃない?ここに売られてるんだし」

田畑が答える。

「ガウディとか?」

「いや、ガウディはダイヤのキングで見えてる」

「意外な人なのかな?」

「グロピウスとかは?」

「あー、ありえる」

ジョーカーを当てるクイズは少しだけ盛り上がった。

そしていざ購入し、バルセロナ・パビリオンの正面にある広場に行き、その場ですぐに開封した。

ジョーカーは誰?・・・・・・

ビニールを引き剥がし、プラスチックの蓋を開けて、おそらくジョーカーがあるであろう後ろから1番上の1枚をめくった。

ジョーカーは、【チャールズ皇太子】だった。

「建築家じゃないのかよ」

さすがの変化球に俺らは爆笑した。

そして、それから俺らのババ抜きは、「チャールズ」というゲームになった。